クリームスキミングとは

一般乗合旅客自動車運送事業の運行計画においては、運行系統、運行回数、運行時刻などが含まれますが、運行計画がクリームスキミングに該当しないかどうかを判断されます。クリームスキミングとは、公共性が高いサービスにおいて、新規事業者が既存事業者の収益の高い部分だけに参入することを言います。

例えば、乗合による旅客の運送では、1日においても、必ず混雑時と閑散時が存在します。事業の収益性を突き詰めれば、混雑時だけに資本注入するのが最も効率の良い営業とはいえ、運行回数を減らして閑散時にも運行しています。

これは、高い公共の利便性を保つために必要不可欠な運行計画であり、混雑時の収益で、採算性の低い閑散時の運行がカバーされています。ところが、新規事業者では混雑時だけの運行計画でも、既存事業者が既に閑散期をカバーしているので、公共の利便性が失われません。

そのため、新規事業者は、混雑時だけの運行計画で営業許可を得ようとしますが、こうした「いいとこ取り」の運行計画では、営業許可が下りないようになっています。クリームスキミング型の新規参入を認めてしまうと、既存事業者の収益が失われ、やがては閑散期をカバーできなくなって、結果的に公共の利便性が失われるからです。

クリームスキミングであるかどうかは、混雑時の運行回数を閑散期の運行回数で除した数値が使われ、運行計画が混雑時に偏るほど、この数値は大きくなります。

基本的な判断は、求められた数値が競合系統の他事業者の1.5倍を上回る、もしくは閑散期の運行回数が0で、数値が求められない場合にクリームスキミングとみなされます。1.5倍を上回らなくても、1倍を上回り、利害関係者からの申し出によって、旅客の利便が損なわれるおそれがあると認められれば、やはり同様に扱われます。

ただし、単純に数値によって、クリームスキミングと判断されるものではありません。混雑時の旅客需要が、既存事業者の輸送力を大きく上回る場合、逆に閑散時の輸送効率が極端に悪い場合など、実情は考慮されます。