タクシーの営業区域と乗車拒否

タクシーだけではないですが、一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地の両方が営業区域外になる旅客の運送をすると、道路運送法違反になります。営業所は営業区域内に設置しなければならず、必然的に営業所のある区域が営業区域です。

ところが、タクシーでは営業区域で乗車した客を、遠距離の営業区域外まで乗せることも多くあります。違反になるのは「発地及び着地の両方が営業区域外」なので、営業区域で乗車した客は、どこまで乗せても違反になりません。

しかし、折り返し営業区域に戻るときが問題で、営業区域外で客を乗せることができるのは、その客の目的地が営業区域の場合だけです。

客がどこに向かうかは、車を停めて客に聞かなくてはならず、もし営業区域外で降りるなら、乗車させることができません。発地が営業区域外で着地も営業区域外だからです。

本来であれば、営業区域外から営業区域に戻る過程でも、乗車させて運賃を稼ぐのが最良だとはいえ、いちいち車を停めて客に聞くのは面倒で手間が掛かります。そこで、空車状態でも客の乗車希望(手を上げる行為など)に対して、素通りすることがあります。

客にすれば乗車拒否に思えてしまいますが、営業区域外であれば仕方がないので、この場合は乗車拒否にはあたりません。乗車拒否に思われて後からクレームが入ることもあるので、「回送」表示をして営業区域に戻る例が見受けられます。