貨物利用運送事業というのは、他の運送事業者(実運送事業者)を利用して、貨物の運送を行う事業のことで、荷主と実際の配送を行う運送事業者の間に介在する形態のことです。イメージとしては、荷主から運送を引き受けますが、実際の運送は、他の運送事業者を下請に使うと考えればわかりやすいでしょう。
貨物利用運送事業には第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業があり、第一種は国土交通大臣の行う登録が、第二種は国土交通大臣の許可が必要です。紛らわしいですが、第二種の方が理解しやすい形態です。
第二種では、荷主から配送先までの運送を一貫して請け負います。荷主から運送機関までをトラックで運び、船、飛行機、鉄道を使って輸送し、そこから配達先までトラックで運ぶ方法です。
このような形態であるため、第二種はしばしば「ドア・ツー・ドア」とも呼ばれます。
第二種は、基本的にトラック集荷+幹線輸送+トラック配達の形態になります。もちろん、利用運送なので実際に運送するのは、自社ではなく別の運送事業者ですが、トラック集配については、自社で行っていても、間の運送(船、飛行機、鉄道)を他の実運送業者を利用していれば、第二種として扱われます。
なお、幹線輸送が無く、トラック集荷+トラック配送を他社に委託するだけの利用運送でも、ドア・ツー・ドアの運送をしていれば第二種扱いです。
※他社に委託せず自社で行えば、利用運送ではないので貨物自動車運送事業です。
また、第二種の集配は、軽自動車や自動二輪車を除く自動車を使う場合だけです。集配を軽自動車または自動二輪車で行う場合、第二種の許可を受けるのではなく、幹線輸送については第一種の登録を受けます。
一方の第一種では、ドアからドアまでの配送ではなく、間の経路の運送だけを、他の運送事業者に委託して行う形態です。第二種からトラック集配を除いたと考えるとイメージしやすいかもしれません。
第一種は、船、飛行機、鉄道、自動車(トラック)のいずれかで、他社の運送事業者を使い利用運送を行います。利用運送に加えて、集荷または配送の片方にトラックを使っても、第二種と違い、ドア・ツー・ドアの運送にはならないため、第一種として扱われます。
この他に、一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者が、他の一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者の運送(自動車運送に限る)を利用する形態もあります。
この形態では、貨物利用運送事業としての許可・登録を必要とせず、利用運送を事業計画に含める(変更申請する)ことで行えます。ただし、実運送事業者が貨物利用運送事業者であるときは除きます。