貨物軽自動車運送事業を経営するには、貨物を運ぶ軽自動車を用意します。しかし、経営が認められるのは、貨物車扱いになる4ナンバーだけで、乗用車の5ナンバーは事業用として利用できません。
いわゆる軽貨物(軽トラック、軽バン)を購入等で事業を開始することになりますが、乗用に使っている5ナンバーの軽ワゴン等を使いたい場合もあるでしょう。その場合は、次のような基準に照らし合わせた改造をします。
①積載部の床面積が0.6㎡以上であること。
②乗車部の床面積よりも、積載部の床面積が大きいこと。
③最大乗車定員時の重量よりも、貨物の最大積載重量が大きいこと。
④積卸口の広さが縦600mm×横800mm以上あり、投影面積で0.48㎡以上あること。
⑤乗車部と積載部の間に、適切な隔壁や保護仕切りを備えること。
ただし、最大積載量500kg以下は座席の背あてで代用可。
まず①~③で、後部座席がある軽乗用車は、ほぼ不適なことがわかります。したがって後部座席を取り外し、軽貨物の原則である乗車定員2名にします。
キャブオーバー型以外なら、鉄板などを敷いて溶接やリベットで止めて平滑にします。キャブオーバー型でも、取り外した後のボルト穴等を塞ぐ必要があるかもしれません。これは、貨物車として問題なく使用できる状態にすることと、容易に乗用車に復元できない状態(つまり貨物車である状態)にするためです。
④については、ワンボックスタイプなら問題ないでしょう。他のタイプでは、投影面積で0.64㎡に注意が必要です。例えば、後部が開くタイプで、ジャスト縦600mm×横800mmの広さがあっても、開口部が上から下に斜めになっていると、投影面積の縦が小さくなるので、基準を満たしません。
⑤については、同時に500kgを超える荷物を積まなければ容易にクリアできます。
結局のところ、乗用車を貨物車に改造すると、改造後は容易に乗用車へ戻せないため、2名を超える乗車用と事業用の兼用はできないと考えましょう。